文句なくかっこいい!子供じみた新しさなどいらない。こころに伝わる『何か』が必要なんだ。未来のデザインには,未来の『品格』が必要なんだ。
SW Message-001 | 未来のデザインは心地良いですか?
1967年イタリア。カロッツェリア全盛期のベルトーネから一台のスーパーカーコンセプトが登場しました。その名はMarzal。あまり知られていないクルマですが、ランボルギーニミウラ、カウンタック等のスーパーカーをデザインしたあの巨匠Marcello Gandiniの作品です。
当時の未来感溢れるデザインは、モダンエイジを突き抜ける勢いを感じさせます。そこには、真摯に未来を見つめる、ある種『品格』の様なものが感じられます。ガガーリンが、"地球は青かった。"と言った時代。1969年にはアポロ計画が実施された世の中のムードがよく伝わって来ます。
あの時代、モダンエイジがもたらしたものが本当に良かったのか、悪かったのか。今となっては懐疑的とも言えますが、そこには明るい未来が確実に存在していました。人類の果てしない進化を信じ、このMarzalも誕生したに違いありません。
疑わない志が、Pureなものを創りだします。
近い将来にやってくるであろうEV時代到来に向けて、いま、新たな未来を予感させるコンセプトカーが次々に発表されています。本家ドイツの名門ブランド達も、未来感がプンプンするデザインを引っさげて「それ急げ、流れに乗り遅れるな」と鼻息が荒くなっています。しかしこのようにつくられる未来のかたち、未来のブランディング、未来のビジネスは、どこか汚れているように感じるのは私だけでしょうか?
無理矢理デザインされ、Pureとは正反対の邪気に満ちあふれた未来のクルマたち。
いつから未来は明るくなくなったのでしょうか?
なぜ昔の未来は心地よく感じるのでしょうか?
「天才だけが、未来を変えられる」 1967年に発表されたMarzalを観ながら、そんなことを考えた夜でした。